事業内容
事業報告
1.世界のヨウ素欠乏地域の調査研究及び支援
マダガスカル共和国への4回目となるヨウ素酸カリウム無償支援850kgについては、2022年2月横浜港を出発し、同国へ3月末に到着した。
2.日本のヨウ素栄養状況についての研究
学童全国調査による日本人のヨウ素摂取状況に関する研究
研究は終了し、成果はJ Clin Endocrinol Metab に掲載された。その他にヨウ素代謝について、年齢別のヨウ素摂取量について、ヨウ素系うがい薬からのヨウ素摂取量について、3編の論文を刊行した。
1)ヨウ素摂取量と甲状腺疾患との関連についての疫学調査
ヨウ素摂取量の多い地域(礼文島、中標津町)、対照として種子島について尿中ヨウ素と甲状容積との関連について調査する。
2)新生児、乳児、妊産婦のヨウ素摂取と甲状腺機能、発育、発達との関連
妊産婦のヨウ素摂取と先天性甲状腺機能スクリーニングとの関連を明らかにする。
3)小児のヨウ素栄養状態に保護者のヨウ素摂取と学校給食が及ぼす影響
全国を対象に保護者と児童のヨウ素摂取量、学校給食ヨウ素量との関連を比較する。
4.その他(刊行論文)
Fuse Y, Ito Y, Shishiba Y Irie M. Current Iodine Status in Japan: A Cross-sectional Nationwide Survey of Schoolchildren, 2014-2019. J Clin Endocrinol Metab, DOI: dgab919.
Fuse Y, Ito Y, Tsukada N, Shishiba Y Irie M. 2021 Iodine intake in healthy Japanese aged from 6 to 70 years residing in the same district. Endocr J, doi:10.1507/endocrj.EJ21-0479.
Fuse Y, Tsukada N, Urakawa Y, Yokoyama J, Matsuzaki M, Shishiba Y, Irie M. 2021 Studies on urinary excretion and variability of dietary iodine in healthy Japanese adults. Endocr J, doi:10.1507/endocrj.EJ21-0486.
Fuse Y, Ito Y, Yamaguchi M, Tsukada N. 2021 High ingestion rate of iodine from povidone-iodine mouthwash. Biological Trace Element Research, https://doi.org/10.1007/s12011-021-02978-7.
2020年度
1.世界のヨウ素欠乏地域の調査研究及び支援
2020年3月のマダガスカル共和国への2回目のヨウ素酸カリウム850kg無償支援に続き、同国へ3回目の無償支援の準備を進めている。
2.日本のヨウ素栄養状況についての研究
学童全国調査による日本人のヨウ素摂取状況に関する研究。
2013年から2019年に学童全国調査を行った。日本人のヨウ素摂取量は国際基準では適量と評価され、地域差があることが明らかになった。これは日本のナショナルデータベースとなるもので、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」の策定資料となるものであり、国際学会誌に投稿の準備を行っている。
3.ヨウ素・甲状腺と成長科学との関連についての今後の研究
研究結果の一部を学会発表した。
Fuse Y, Ito Y, Tsukada T, National Survey of Iodine Intake and Its Relations to Thyroid Disorders in Japan - Epidemiological Study on 32,000 Schoolchildren and 2,500 Adults from 2014 to 2019, Different Iodine Intakes and Their Impact on Thyroid Dysfunction in Asian Countries (Including Iodine Deficiency or Excess), AOCE-SICEM 2020
尚、新型コロナウイルスのパンデミックのため、金沢大学と共同で2020年1月に能登地方で行った住民の疫学調査を最後に、2020年度に実施を予定していた疫学調査はすべて延期および中止となり、再開時期は現時点では未定である。
2019年度
1.世界のヨウ素欠乏地域の調査研究及び支援
マダガスカル共和国への2018年10月のヨウ素酸カリウム850kgの無償支援に続き、同国へ2回目の無償支援の準備を進めている。
2.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成および甲状腺機能、成長発達との関連に関する研究調査のため、2013年より学童全国調査を開始。2019年12月までに32道府県49市町村、162小学校で、対象児童総数51,840人で実施された。
その約62.9%である32,604名と保護者男女約4万名より協力を得た。
尿中ヨウ素中央値は268.0(昨年は265.0)μg/Lであり、日本人のヨウ素摂取量は地域差があるが、国際基準では適量と評価される。おそらく、平均的なヨウ素摂取量は1日0.3mg程度であり、従来の報告よりもかなり少ないものと推測される。
平成30年度(2018年度)
1.ヨウ素欠乏地域に対する国際協力
マダガスカル共和国へのヨウ素酸カリウムの無償支援については、2018年10月13日にヨウ素酸カリウム850kgが現地に到着し、10月29日に千葉県庁にて贈呈式開催。
2.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成および甲状腺機能、成長発達との関連に関する研究調査のため、2013年より学童全国調査を開始。2019年3月までに31道府県41市町村、114小学校で、対象児童総数46,521人で実施された。
その約61.9%である29,499名と保護者男女36,038名より協力を得た。
3.ヨウ素を多量に含む食品摂取の健康リスクについて -甲状腺機能への影響についての研究-
全国各地で定期健康診断をおこなう健康成人を対象、また北海道の5大昆布産地の漁協の成人を対象とし、ヨウ素摂取と甲状腺機能との関連を調べ、尿中ヨウ素濃度、血液TSH,FT4 などを測定し、同時にヨウ素摂取量食事アンケートを行い、毛髪を採取した。現時点で1,921名の成人男女を対象に実施した。
平成29年度(2017年度)
1.ヨウ素欠乏地域に対する国際協力
ヨウ素欠乏対象国に対するヨウ素酸カリウム850㎏無償提供については、対象国をマダガスカル共和国に決定し、平成28年よりマダガスカル政府公衆衛生担当者、日本ヨウ素工業会、千葉県、IGN(Iodine Global Network)などと協議し履行に向かっている。
2.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成および甲状腺機能、成長発達との関連に関する研究調査のため、2013年より学童全国調査を開始。2018年3月までに25都道府県、小学校65校において調査を終了した。対象児童数は36,203名で、尿検体はその約65%である23,568名より採取、ヨウ素摂取量栄養調査は保護者男女29,693名において行なった。
3.ヨウ素を多量に含む食品摂取の健康リスクについて -甲状腺機能への影響についての研究-
全国各地で定期健康診断を行う健康成人を対象、また北海道の5大昆布産地の漁協の成人を対象とし、ヨウ素摂取と甲状腺機能との関連を調べ、尿中ヨウ素濃度、血液TSH,FT4 などを測定し、同時にヨウ素摂取量食事アンケートを行い、毛髪を採取した。現時点で約1,000名の成人男女を対象に実施した。
平成28年度(2016年度)
1.ヨウ素欠乏地域に対する国際協力
ヨウ素欠乏対象国に対するヨウ素酸カリウム850㎏無償提供についてマダガスカル共和国とし、同国政府の正式な受取人が決定した。今後、日本ヨウ素工業会が中心となり、輸出の手続きなどをすすめる。
2.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成および甲状腺機能、成長発達との関連に関する研究調査のため、平成25年より学童全国調査を開始した。平成29年3月までに21都道府県の28市町村、53小学校において調査を終了した。30,616名の児童を対象にし、19,976名から尿検体を採取、25,151名の保護者において栄養調査を行なった。
3.ヨウ素を多量に含む食品摂取の健康リスクについて -甲状腺機能への影響についての研究-
全国各地で健康成人を対象とし、ヨウ素摂取と甲状腺機能との関連を調べるために、尿・血清・毛髪中のヨウ素濃度、血液TSH、FT4、甲状腺自己抗体などを測定し、同時にヨウ素摂取量食事アンケートを行う。現時点で9都道府県において1,002名の成人男女から検体を採取した。
4.日本甲状腺学会臨床重要課題「日本人のヨウ素栄養状態の全国実態調査と甲状腺疾患との関係」(委員長:布施養善、副委員長:紫芝良昌、顧問:入江實)との研究協力
研究課題「甲状腺疾患に対する放射性ヨウ素内用療法時のヨウ素制限」、「新生児医療におけるヨウ素と甲状腺機能低下症との関連についての研究」、その他の研究課題について協力を行なっている。
平成27年度(2015年度)
1.ヨウ素欠乏地域に対する国際協力
ヨウ素欠乏対象国に対するヨウ素酸カリウム 850 ㎏無償提供については、新たに対象国 を選定し、日本ヨウ素工業会、IGN(Iodine Global Network)など関連各所と協議中で ある。
2.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成および甲状腺機能、成長発達との関連に関する研究調査のため、平成 25 年より学童全国調査を開始、これまでに 12 県 22 校、北 海道 7 校で調査を行った。27 年度は市原市、厚岸町、鶴岡市、旭川市、徳島市、前 橋市、宮崎市、浦添市、西原町(沖縄県)で調査を終えている。 また、この研究の経過報告は、日本甲状腺学会学術集会(平成 27 年 11 月:福島市)、 日本学校保健学会(平成 27 年 11 月:岡山市)等において発表した。
平成26年度(2014年度)
1.ヨウ素欠乏地域に対する国際協力
平成23 年度より進めてきたヨウ素欠乏対象国に対するヨウ素酸カリウム850㎏無償提供について、昨年度、対象国をスリランカ民主社会主義共和国に決定。平成27 年1 月にスリランカ民主社会主義共和国に向け出荷の手続きを終えた。この件については、日本ヨウ素工業会、千葉県、京葉天然ガス協議会、ICCIDD(International Council for Control of Iodine Deficiency Disorders)Global Network現在はIGN(Iodine Global Network)、外務省、UNICEF 等の協力のもと実現した。
2.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成および甲状腺機能、成長発達との関連に関する研究調査のため、平成25年より学童全国調査を開始し、26年度は北海道中標津町、長野県松本市、長崎県長崎市、静岡県浜松市の小学校において実施した。
平成25年度(2013年度)
1.ヨウ素欠乏症国際対策機構(ICCIDD Global Network)の研究「小児期のヨウ素欠乏と身体発育との関連、妊娠中のヨウ素欠乏と出生体重との関連を明らかにする」を支援。
2.日本ヨウ素工業会の協力により、ヨウ素欠乏地域へのヨウ素酸カリウム850kg 無償提供
ICCIDD(International Council for Control of Iodine Deficiency Disorders)、外務省、UNICEF を通じ対象地域の検討を行った結果、スリランカに決定した。日本ヨウ素工業会、スリランカ側の担当者および関係機関と調整中。
3.日本人のヨウ素摂取量のナショナルデータ作成のため、広島市、横浜市、鹿児島市の小中学校において尿検体を採取し調査。
平成24年度(2012年度)
1.尿中ヨウ素値の測定による日本人のヨウ素摂取状況調査の実施
2.ヨード欠乏地域に対するヨード酸カリ850kg供給の国際的支援
ICCIDD(International Council for Control of Iodine Deficiency Disorders)、外務省、UNICEFを通じ対象地域の検討を行った。提供先としてスリランカ、ブータンが候補に挙がった。
平成23年度(2011年度)
1.尿中ヨウ素値の測定による日本人のヨウ素摂取状況調査の実施
2.ヨード欠乏地域へのヨード支援の検討
日本ヨード工業会よる850kgのヨウ素無償提供について、外務省、UNICEFを通じ対象地域の検討を行った。
平成22年度(2010年度)
1.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 高村 昇 教授を代表とする研究チームが行った旧ソ連邦(ウクライナ、ベラルーシ共和国)における妊婦を対象とした尿中ヨード濃度のスクリーニング、妊婦期間中におけるヨード充足状況の評価に係る費用の補助。
2.ヨード欠乏地域へのヨード支援の検討
日本ヨード工業会より850kgのヨウ素無償提供の申し出を受け、アジア・オセアニア地域のヨード欠乏地域への支援について対象となり得る国、地域の検討を行った。対象国の選択にあたりICCIDD(International Council for Control of Iodine Deficiency Disorders)、援助の実施にあたり外務省、JICAなどと連携が必要 なため各関係者と協議を行った。
平成21年度(2009年度)
1.「第9回アジア・オセアニア甲状腺学会議」の開催を補助
《日 時》平成21年11月1日(日)~4日(水)
《場 所》名古屋国際会議場
《代表者》村田善晴(名古屋大学環境医学研究所生体適応・防御研究部門 教授)
2.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 高村 昇 教授を代表とする研究チームが行った旧ソ連邦におけるヨード充足状況についての現状評価に係る費用の補助。
平成20年度(2008年度)
1.中澤裕美子(国立成育医療センター 総合診療部)医師を代表とする研究チームが行ったラオス人民民主共和国都市部の妊婦を対象としたヨード欠乏の要因に関する調査に係る費用の補助。
2.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 高村 昇 教授を代表とする研究チームが行った旧ソ連邦におけるヨード充足状況についての現状評価に係る費用の補助。
平成19年度(2007年度)
1.荻野寛子(国立成育医療センター 総合診療部)医師を代表とする研究チームが行ったラオス人民民主共和国都市部における妊婦を対象としたヨード欠乏の有病率に関する調査に係る費用の補助。
平成18年度(2006年度)
1.「第6回国際新生児スクリーニング学会(The 6th Meeting of the International Society for Neonatal Screening)」のシンポジウム2、プレナリーレクチャー6について国際新生児スクリーニング学会と共催
《日 時》平成18年9月16日(土)~19日(火)
《場 所》兵庫県立淡路夢舞台国際会議場
《演 題》Neonatal screening for hypothyroidism
《演 者》国外7名、国内1名
2.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 高村 昇 助教授を代表とする研究チームが行ったカザフスタンにおけるヨード欠乏地域の調査に係る費用の補助。
3.山本智英(山本内科:大阪市中央区)医師を代表とする研究チームが行ったインダス河支流ブラルド川流域に おけるヨード欠乏性甲状腺疾患予防対策事業に係る費用の補助。
平成17年度(2005年度)
1.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野 高村 昇 助教授を代表とする研究チームが行った旧ソ連邦(ウクライナ・ベラルーシ共和国)におけるヨード欠乏状態の調査研究に係る費用の補助。
2.山本智英(山本内科:大阪市中央区)医師を代表とする研究チームが行ったヨード欠乏による甲状腺腫とクレチン症多発地域(インダス河下流)における疫学的調査と予防事業に係る費用の補助。
平成16年度(2004年度)
1.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野 高村 昇 助教授を代表とする研究チームが行ったカザフスタンにおけるヨード欠乏地域の調査に係る費用の補助。
2.山本智英(山本内科:大阪市中央区)医師を代表とする研究チームが行ったパキスタンにおけるヨード欠乏性甲状腺疾患予防対策事業に係る費用の補助。
平成15年度(2003年度)
1.長崎大学大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野 高村 昇 助教授を代表とする研究チームが行ったカザフスタンにおけるヨード欠乏地域の調査に係る費用の補助。
2.スロバキア科学アカデミーのDr Langerより依頼を受け、同国のPCB高濃度汚染コホート約1,000名について、尿中ヨードの測定を我が国で実施し成績を送付した。
平成14年度(2002年度)
1.世界のヨード欠乏症地域の調査研究
長崎大学医学部附属原爆後障害医療研究施設(責任者 山下俊一教授)を中心としたカザフスタン地域におけるヨード欠乏症の調査・研究を行った。
2.日本及び世界における尿中ヨード排泄量及び甲状腺計測に関する研究
WHO Zimmerman博士、旭川医科大学小児科、東邦大学新生児科の共同の下に1,200名の学童の尿中ヨード 測定、甲状腺容積の測定に関し調査、研究を行った。また、これに関する打合せ会を開催。
平成13年度(2001年度)
1.尿中ヨード排泄量の測定並びにその診断的価値の検討
2.上記と甲状腺計測との比較検討
3.尿中ヨード測定に関する国際会議(5月・バンコク)に1名出席
4.ヨード欠乏症対策会議(10月・東京)に参加のバングラデシュ在住の研究者1名に係わる費用を補助
平成12年度(2000年度)
1.平成12年7月、前田万里(琉球大学第二内科)ラオスにおけるヨード摂取と甲状腺機能について調査
2.12th International Thyroid Congressのプレミーティングの準備・運営
【12th International Thyroid Congressのプレミーティング】
・東京会場(10月20日(金) ホテルニューオータニ)
《演 題》ヨード欠乏症とその対策
《演 者》国外5名、国内3名
《参加者》130名
・京都会場(10月22日(日) 国立京都国際会館ホール)
《演 題》The Satelite Meeting of ICCIDD at the 12th ITC
《演 者》国外5名、国内1名
《参加者》150名