指定課題研究報告


ヨード摂取と妊婦及びその出生児の甲状腺機能に関する臨床的研究


1.周産期の母体のヨード摂取と新生児の甲状腺機能との関連について
2.ヨード含有造影剤の母体の甲状腺機能への影響についての横断的研究
主任研究者 布施養善 (国立成育医療センター研究所)
共同研究者 小川博康 (小川クリニック)
 布施養慈 (仲町台レディースクリニック)
 荒田尚子 (国立成育医療センター)
 原田正平 (国立成育医療センター)





本年度までの研究経過と今後の予定

 研究課題1.周産期の母体のヨード摂取と新生児の甲状腺機能との関連について、は平成20年10月より、神奈川県横浜市内の小川クリニックおよび仲町台レディースクリニックにおいて分娩予定の妊婦のうち、同意を得られた症例の研究計画へのエントリーを開始した。妊産婦および新生児の血液、尿、乳汁の検体を保存し、予定症例数に達した時点でヨード濃度を測定し、統計学的検討をおこなう。
 研究課題2.ヨード含有造影剤の母体、胎児の甲状腺機能への影響についての横断的研究(担当:荒田尚子、原田正平)については、まもなく予定症例に達し、最終報告をおこなう予定である。


研究目的:

 周産期の食品および医薬品からのヨード摂取が母体・胎児・新生児の甲状腺機能に及ぼす影響を明らかにする。


研究の背景

 ヨウ素は人体に必須の微量元素の一つで甲状腺ホルモンの主要な構成要素であり、ヨードの欠乏および過剰はともに甲状腺機能の異常を主徴とする様々な疾患の原因となる。妊娠中のヨード欠乏は特にヨード欠乏地域においては児の重篤な精神発達障害をもたらすことが知られている一方、ヨード過剰摂取によると考えられる新生児の一過性高TSH血症も報告されている。しかし妊娠中の甲状腺機能とヨード代謝については不明な点が多い。
 わが国では古来より海藻類、魚類を摂取する習慣から一部の地域を除いてヨード欠乏症は存在しないと考えられている。近年、多くの加工食品に海藻類から製造した風味原料が添加され、また食品以外にも医薬品などにヨードが多く含まれるものがあり、ヨードが過剰に摂取されている可能性が推測されるが、妊産婦、新生児にどのような影響があるかは明らかではなく、日本人の至適摂取量も定まっていない。


研究計画


1.周産期の母体のヨード摂取と新生児の甲状腺機能との関連について


対象と方法:妊娠36週以降の甲状腺疾患のない妊婦およびその新生児100組、縦断的研究
@ 母体のヨード摂取量調査(質問紙法による食物摂取頻度調査)を2回おこなう。1回目は妊娠36週前後の研究へのエントリー時、2回目は分娩後の退院時とする。入院期間(約5日間)中の食事内容から実際に摂取したヨード量を計算する。
A 妊娠36週前後と分娩後3日目前後に母体の尿中ヨード, FT4, FT3, TSHを測定する。
B 分娩後3日目前後に母乳中のヨードを測定する。
C 臍帯血と生後3日目前後の新生児において血中ヨード, FT4, FT3, TSH、尿中ヨードを測定する。
D 生後3日目前後の新生児の甲状腺容量を超音波断層装置で測定する。

2.ヨード含有造影剤の母体、胎児の甲状腺機能への影響についての横断的研究


 国立成育医療センターにおいて油性ヨード剤による子宮卵管造影法をおこなった後に妊娠した妊婦50例を対象とする。FT3,FT4,TSH,Tg,抗Tg抗体、抗TPO抗体、尿中ヨード/尿中クレアチニン(随時尿)を測定する。







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