指定課題研究報告
ヨード摂取と甲状腺機能(学童・妊婦・出生児)に関する臨床的研究
主任研究者 布施 養善 (東邦大学医学部新生児学教室) 山口 曉 (山口病院) 岡本 ゆりの (岡本医院) 坂本 真理子 (東邦大学医学部第2小児科学教室)
甲状腺ホルモンが胎児の発育、発達に妊娠初期から必須のことは広く知られている。世界的にヨード欠乏地域においては、妊産婦のヨード摂取不足による児の精神発達障害が大きな問題となっている。ヨードは甲状腺ホルモンの合成に必須であり、その欠乏および過剰はさまざまな病態を引き起こす。わが国は他の国と比較し、食事からのヨード摂取量は多く、過剰と指摘されることもある。しかし、わが国のヨード摂取について、特に妊産婦についてのデータは少ない。近年、食事習慣の変化に伴い、ヨードを多量に含む食品が大量に消費されているという報告もみられ、胎児・新生児の甲状腺機能にどのような影響があるのかは明かではない。
研究の背景
研究目的:
1) 日本人の妊産婦のヨード代謝と甲状腺機能との関連を明らかにする。 2) 母体のヨード摂取と新生児の甲状腺機能との関連を明らかにする。
対象:35歳以下の甲状腺疾患合併のない健常妊婦および、その出生児
研究方法:
1) 合計800名の妊婦。第1、第2、第3三半期、産褥3日目の各時期に、それぞれ200名の妊産婦および同数の新生児(満期産児)を対象とする。(横断的研究) 2) 同一症例の50名の妊産婦および同数の新生児(満期産児、生後5日目)を選び、妊娠初期から分娩後まで継時的に追跡する。(縦断的研究)
調査項目:
1) 尿中ヨード排泄量(妊婦検診時の随時尿) 2) 尿中クレアチニン 3) 血中TSH、FT3、FT4、サイログロブリン 4) 超音波断層装置による甲状腺容積 5) 質問紙法による食事中のヨード摂取量の推定
平成16年10月より、研究対象となる、千葉県船橋市のY病院にて妊婦検診をおこなっている妊婦を対象とした。年齢が35歳以下で甲状腺疾患の既往のない健常妊婦を無作為に選び、本人の同意を書面で得ることを開始した。エントリー後、流産、重症悪阻、甲状腺機能異常を示す妊婦は除外している。現在、上記、調査項目の内、尿、血液の検体は採取後、凍結保存している。予定の症例数には未だ満たない状況である。
研究の経過について